「確率モデルと最適化」分科会研究集会 代表者:菊田健作(兵庫県立大学)

日本オペレーションズ・リサーチ学会研究部会「不確実性環境下の意思決定モデリング」
主査 笠原正治(奈良先端科学技術大学院大学), 幹事 中西真悟(大阪工業大学))との共催
日時:2016年8月26日(金)13:00-17:30
場所:大阪工業大学うめきたナレッジセンター

プログラム

(1) 片桐 英樹(神奈川大学)
『基板検査における最適化 〜中小企業との産学連携を通して〜』
概要:本講演では,基板検査機メーカーとの産学連携の取組を紹介する.基板の検査経路の最適化問題に対して,集荷配送TSPに基づくモデル化と解法を提案し,検査機器への組込みを行った.実際の販売台数の伸びや特許出願の話題にも触れ,中小企業との産学連携の意義と面白さ,難しさ,また,今後の課題等についても述べる.

(2) 三好 直人(東京工業大学)
『ジニブル点過程を用いたセルラネットワークのモデル化と解析』
概要:最近,無線通信ネットワークの性能解析のためのモデルとして,無線ノードの位置を空間点過程によって表した空間確率モデルが注目されています.しかし,この分野における既存研究の多くは,無線ノードが定常ポアソン点過程にしたがって配置されていることを仮定しています.このことは,各ノードが互いに独立に位置していることを意味し,解析の容易さのためにノードの位置の相関を無視していることになります.本講演では,無線基地局がジニブル点過程と呼ばれる空間点過程にしたがって配置されたセルラネットワークのモデルを考えます.ジニブル点過程は行列式点過程の1つであり,基地局が互いに負の相関をもって配置されている様子を表すことができます.この提案モデルに対して,被覆確率と呼ばれる性能評価指標が数値計算可能な形で与えられることを示します.また,数値実験により,基地局が定常ポアソン点過程にしたがうモデルとジニブル点過程にしたがうモデルとを比較します.

(3) 佐藤 毅(神戸学院大学)
『海岸保全施設の維持管理問題について』
概要:高度成長期に急速かつ集中的に整備された海岸保全施設は老朽化が進み、適切な維持管理事業による運用寿命の延長化、新規整備が計画されている。本講演では消波工を対象とし、性能劣化を確率過程ととらえたうえで、事後・予防保全を考慮した総期待保全費用最小化問題として、定式化および意思決定問題としての考察を行う。

(4) 安田 正實(千葉大学名誉教授)
『動的計画法とフィボナッチ数の2次評価分割、トリボナッチ数列による連の確率計算』
概要:動的計画法の神髄は再帰関係にあると考える。フィボナッチ数列はその典型的な例であり、フィボナッチ数の2次評価分割をはじめ、トリボナッチ数列への拡張や多人数での最適時刻停止問題、カルマンフィルター理論のゲイン関数、黄金比との関連やπの逐次計算法など枚挙に暇がない。ここではこれらの数点を紹介したい。